自然科学・科学技術

人の皮膚からできた万能細胞

2007年11月21日
再生医療に注目されている万能細胞。今までは受精卵の初期段階の細胞から作られるES細胞が主流でした。
でも受精卵ということは、倫理上の問題も含んでいるということ。それを今回京大の研究チームが人の皮膚の細胞から万能細胞を作ることに世界で始めて成功したというニュースが流れました。

そもそも万能細胞とはなんでしょうか。その前に、受精したときはたった1つの細胞だったのがドンドン分裂して、やがて神経、筋肉、骨など体の各部分の細胞へと変化していきます。不思議ですよね。始まりは1つの細胞です。分裂していくのだから同じ細胞です。それがやがて体の各部分の細胞に分化します。細胞はお互いに連絡をとりあい、自分が何の器官になるか決めているとか。


次に、細胞の分裂回数について。通常の体細胞は分裂回数が決まっています。回数券のようなものを持っていて、1回分裂するごとに回数券を1枚使います。使い切ると分裂できなくなります。これが死です。癌細胞はこの回数券が壊れているので、無限に分裂、増殖するようです。


万能細胞は、分化が起こる前の何にでもなれる細胞のこと。しかも分裂回数は無限回です。例えば皮膚を再生したい場合、万能細胞を培養しながら皮膚細胞へと分化させます。皮膚だけでなく、色々な器官が再生できるというわけです。


今までの万能細胞は分化前の細胞を使っていましたが、今回京大チームが発表したのは、一旦皮膚に分化した細胞を万能細胞にしたという成果です。つまり、皮膚細胞から分化前の何でもなれる万能細胞に逆戻りさせたということ。しかもたった4つの遺伝子を作用させるだけで逆戻りするんだそうです。
自分の細胞から作れるので、拒絶反応もなくなるそうですよ。


医療だけでなく様々な分野に大きな影響を及ぼすでしょうね。ノーベル賞に匹敵するような大発見だそうですよ。すごいもの発見しましたね。