読書・本

日本人はなぜ日本を愛せないのか

2011年10月27日
まず、この本のタイトルを見たとき、『それは自分の国のことを教えられてないからじゃないの?』と思いました。上り坂で繁栄しているときならまだしも、成長も鈍り退化すら感じる今日この頃、自分の国のことをほとんど何も知らない(良い点も悪い点も)のでは、愛せないのは当然ではないかと思います。
これが読み始める前によぎった思いです。

思いは、概ね読み始める前とさほど変わりませんでした。
が、学ぶべきことはたくさんありました。

まずは、日本は特異な文化を持っているらしいということです。
うすうす感じてはいましたが、この本を読んで決定付けられた気がします。
外国と日本の違いを感じて、どうしてだろうと思うことが時々ありますが、世界的にみれば日本の方が特異なんだということです(悪い意味ではなく)。

次に、この本を読むと、欧米は獰猛に、そして自分勝手に感じてしまいます。それも日本人には信じがたいほど。
人にはそれぞれ生い立ちがあり性格があるように、国にも生い立ちや歴史があり、それが国民性を作っているということです。良い悪いの前に、そうしなければ生きて来れなかったという面が色濃くあるということです。
諸国とお付き合いするときは、この点をよくよく頭に入れておかないといけないな、と感じました。
必要以上に恐れる必要はないと思いますが、用心は必要と思いました。

他には、自分の国の歴史・文化を正しく知ることは、自国の国益を守るだけでなく、相手国のためでもあると感じました。
良くも悪くも日本に生まれ育ったということは、日本の歴史・文化を知らず知らずしょっているということです。
個人でも自分が嫌い、自分を否定することは悲しく辛いことですが、国でも同じことが言えると感じました。

また、詳しくは書かれていませんでしたが、第2次世界大戦での日本の立場も正しく知る必要があると思いました。以前池上さんの番組を観て、教えられてこなかった事実に驚き、やや希望も見出せたことがありますが、この本も同じようなことが書かれていました。
大戦中、確かに日本はアジア諸国を侵略しましたが、その行動の背景と、欧米諸国の侵略の仕方の違いなど、正しく知る必要があると感じました。

アメリカが原爆をドイツではなく、日本に落としたのは、日本人が黄色人種だったからというのが理由だったそうです。
池上さんの番組で紹介されていましたが、戦後日本に原子力発電を導入させようとしたアメリカに『日本は原爆のせいで原子力に嫌悪感を持っているが、原子力は有用なことを教えなければならない』といった意味の書類があったそうです。このことも忘れてはならないと思いました。アメリカに渡った某政治家(誰とは書きませんが)が、アメリカの策略にまんまとはまり、原発を始めることにしてしまったそうです。
これを聞いたとき、本気で言っているとすればアメリカってなんてかわいそうな考えしかできない哀れな国なんだ、と心底思いました。
いまでこそ技術・経済共にトップクラスになったので、表立って差別されることは少なくなったそうですが、そもそもは日本人も差別の対象なんですね。

しかし、学校で教わらない大切なことが多々ありますね。
自分の国の文化をきちんと教えず、いい学校に進学することだけを目標にする・・・ 東大なんて評価が高いのは国内だけ、外国からみるとランク外だというのにねぇ。なにやってんだか。
学校で教わらないことが、実は大切なんじゃあないかと思ってしまいます。

これまで日本は諸外国の文化を柔軟に受け入れてきました。このことが自信喪失に繋がっていると書かれています。しかし、それこそが日本の最大の強みでもあることも書かれています。

身の回りの物をすべて自分の思うように変えていく欧米の文化は行き詰まりを見せている、これからは日本古来の文化が求められるのではないか、それが日本の進む道ではないか、とあります。
幕末、日本にやってきた外国の人々が、なんて優しい人たちなんだ、と驚いたと聞いたことがあります。日本には、人だけでなく周りの動物や自然に感謝し大切にする文化があります。
これこそ、これからの世界に示していくべきものではないかとまとめられていました。

もはや目標・お手本は存在しなくなってしまったので、自分で道を見定めないといけなくなっているとありました。

私も概ね同じように感じました。
やはり、日本は技術が根幹をなす国だと思います。その技術をこれからは自国だけでなくもっと世界に役立てていくこと、本当の豊かさのために発展させていくことが日本の進むべきみちなのかな、と感じました。

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