暮らし

真冬の夜の怪談?

2015年01月28日
怪談の前に、私が住んでいるマンションの構造について少々。

マンションの廊下にそれぞれの家の門扉があります。
門扉を入るとプライベートポーチと呼ばれる占有的に使える空間があり、各戸の玄関ドアがあります。私が住んでいるタイプの部屋には、玄関ドアの他にプライベートポーチから入れる勝手口もあります。
玄関ドアはオートロックと普通の鍵の二重鍵、勝手口は普通の鍵のみです。


さて、本題です・・・・

夜0:00少し過ぎの出来事です。
プライベートポーチにゴミをまとめているのですが、そこにゴミを出しに出ました。玄関ドアから2歩ほどです。
うっかりオートロックのリモコンキーを持たずに出てしまいました。
しまった!!!!!

ですが、鍵がなくても暗証番号を打ち込めば開くタイプのオートロックです。リモコンキーがなくても開くんです、普通は。そう普通は。
運が悪いことに、キーの一部が良く効かなくなっています。
いくら効かなくなっていても、まずは試しに開けてみます。

ピ・・・ピッピッピピ





やっぱり開きません。





オートロックは乾電池で動いています。万が一電池切れで開けられなくなったときのために、非常キーなるものがあります。とある所に隠している非常キーを持ってきて開けることにしました。

またまた運が悪いことに、非常キーを使うには、とても固い蓋を開けなければいけません。とても人間の体で開けられるものではないんです。
マイナスドライバーのようなものを差し込まないと無理なんです。
ちょっとゴミをまとめに出ただけ、そんなもの持って出ているわけがありません。

開かないと分かっていても、一応は開けようと試みます。
もっている金属は非常キーだけなので、キーをねじ込んでみますが厚過ぎて入りません。
叩き壊そうかと思いましたが、叩き壊すものがありません。手や足で叩いたり蹴ったりして壊れるような物ではないのです。

そんな苦労しなくても、勝手口から入ればと言われそうです。普通の鍵を持っていれば、入れるんです。でも普通の鍵も持って出ていないわけです。
勝手口から入らなければいけなくなることもあろうかと、勝手口のドアロック(ドアガード)は外しているのに、確か外した記憶はあるのですが、鍵がないんです。

父母の家にはオートロックのリモコンキーはないけれど、普通の鍵があるので、それを使えば、おそらく勝手口から入れるでしょう。
勝手口から入れなくても、非常キーの蓋を壊す道具は手に入ります。
そのためには父母に連絡しなければいけません。でも電話も持って出ていません。
持っているのはゴミ箱だけ・・・

もう1つの手は、隣の家からバルコニーに出させてもらい、窓から中へ入る方法があります。
幸い換気のため窓を開けていたので、鍵はかけていません。鍵をかける前に締め出されたんですから。
なのでガラスを叩き割る必要はありません。ガラスを割らなければならないとなると、アンが近くにいるときは危ないので、これまた入れません。
ですがお隣さんには、かなりの迷惑をかけてしまいます。

もう父母の家へ歩いて行くしかないと思いました。
玄関ドアから2歩の所へ出ただけなので、当然のようにコートも着ていません。父母の家まで25分くらい、歩けるか?幸いそこまで寒くない。

家の中ではアンが、何しているの早く入っておいでとニャアニャア言ってます。
ああ、中からオートロックのボタン押して解除してくれないかな。無理な相談か。

効かないキーと格闘しながら10回以上暗証番号を打ち込んだのですが、駄目なので一旦は諦めました。ですが、最後にもう一度やってみよう、それで駄目なら、父母が寝ているのを起こし、驚かせることになってしまいますが、行くしかありません。玄関ドアの前で手を合わせて、お祈り、そして渾身の力と願いを込めて、震える手でグリグリと押してみました。


ピ・・・ピッピッピピ


やっぱり駄目か。もう一度。お願いします。



ピピピピ・・・・ピピーーー






あ・・・・・・・・


開いた・・・・



奇跡だ・・・。

神様か仏様か、もしかするとアンを心配したミミのおかげか、奇跡が起こりました。
ありがたい。皆様ありがとうございます。



大急ぎで玄関ドアを開けて中へ。
「キーが馬鹿になっているオートロックを使うのはもう金輪際止めよう。また勝手に閉まらないように、オートロックの乾電池を外そう。」
とその場で決意し、乾電池を外そうとしました。ですが更に震えが来ている手ではうまく外せません。必死に乾電池を外しました。これでもう勝手にロックがかかることはありません。

足も震えていて、うまく歩けないので這うようにして部屋に入ると、アンが駆け寄って来て飛びつこうとしました。
でも私の様子がいつもとあまりに違ったせいか、背中に手をかけたまま飛びつくのをやめて、私を覗き込みました。
ああ、心配してくれているんだ。

入ったよぅ、会いたかったぁ、アン(T T)(T T)(T T)

ほんの30分ほどでしたが、果てしない30分でした。こんなにアンに会いたいと思った30分は初めてでした。

その後、案の定お腹が強烈に痛くなりました。ストレスで消化器系の動きが止まったのでしょう。
ベッドに横になり落ち着くのを待ちました。
1時間はウンウン言ってました。2時間くらい放心状態でした。
その間、何度かアンが様子を窺っていました。

気持ちを落ち着かせるため、好きな録画番組を見ました。
ずいぶん気持ちも落ち着いた頃、それを察したのかアンが運動会を始めました。


『なんだかよく分かりませんが、ママは動けなくなってました。』


マンションエントランスのオートロックを解除する裏技はあるんですけどね。

門扉を出るときは玄関の鍵をかけるので、必ず鍵を持って出ます。
鍵掛けに普通の鍵をぶら提げ、その上にオートロックのリモコンキーを提げているので、普通の鍵を持って出るときは、必然的にリモコンキーも持って出ることになります。いえ必然になるように工夫しているのです。
エレベーターに乗るときは、携帯電話を持って乗るようにしています。
ふと注意がそれてしまっても、大丈夫なように考えているんです。

今回の自分締め出しは、前から危ないなと感じていました。
リモコンキーが2つあれば、1つをどこか戸外に隠しておけるのですが、1つしかないので、どうにもならなかったのです。
非常キーが2つ目のリモコンキーになる予定だったのですが。いざという時、開かない蓋って・・・


思い出すだけで凍りつく、真冬の夜の怪談でした。

・・・・・外に出るのが怖いです。
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